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November 21, 2008

馬場卓也先生著・真田十勇姫!(第二巻)を読んでみた【手紙形式】

真田十勇姫! 弐之巻(GA文庫 は 3-2)
を読みました。

 同級生ユキオへの友情が独占欲に変わったとき、徳田ケイスケは富士山中に棲む大イモリの黒焼きから作った媚薬を使うことを決意する。「だ…駄目だよ。俺たち、こんな、あッ…」理性と情欲の間で苦しむユキオの表情がケイスケの暗い欲望に火をつける。床に転がされ、猿ぐつわを咥えてもがくゲンゾウ(ショーン・コネリー)に聖者の如く微笑むケイスケ。『おじいさん、もうしばらくの辛抱ですよ。お互いを満足させられるのは学祭の時、と言ったじゃないですか』 黒曜石の闇の中で背徳の宴が秘めやかに幕を開ける。という話ではないのでご安心を(ごく一部本当ですが)。ほんとうにきちんとしたボーイミーツガールのラブコメです。BLじゃないですよ(BLは読んだことないが)

正しい内容はお買い求めの上実際にお読みになられた方がよろしいかと。

というわけで、前回に引き続き感想文は手紙形式で。

前略
 二巻目を読んでいて、最初に感じたのは地の文の描写がわかりやすくなってスムーズに読むことが出来たと言うことです。一巻目を出された後で文体に対して色々と意識された部分もあったのではと考えさせられました。
 そして、登場人物一人一人のエッジが大分立ってきて、それぞれの考え方やポジションの違いが巻き起こすギャップを素直にギャグとして楽しめました。そこには、ユーリとケイスケという「2大異物」の存在が大きいように思われます。
 一巻目の時は、キャラクターがそれぞれに特技や魅力を持っていたのですが、基本的にツバメをのぞいて、全員「(根は)いい人」のポジション枠に集中していたように感じられます。物語上での位置が同じ枠の中で個性を出していくには文章でそれぞれの書き分けをしっかり行う必要がありますが、ハードルの高さがぐっと上がります。
 
 ユーリが今回「自分に正直すぎて困った人枠」に入ってきて、しっかりと異物であることを自己主張したことでその異物への対処の仕方の違い(反発・困惑・妥協・安全な位置でスルー)が、登場人物それぞれの差異を見えやすくしていった様に感じました。
 一方、ケイスケが「変な人枠ど真ん中」に移動して暴れてくれたおかげで、読者である私にとっては作品世界内で「どこまでが許容範囲内」で「どこからが変」という一線がはっきりしました。たとえば、ミヨが眉間を撃つのはOKですが、股間を撃つのはNGなのですね。
 話を書く側は登場人物の位置が全て頭に入っている状態で書いているわけですが、読者にとっては文章から与えられる情報がすべてなので、三人称で書かれた文章だと人間関係や価値観のどこを基点にして読み進めるべきかがあやふやになることがあります。(本来は主人公が基点になるわけですが、読者が主人公と同じ目線に立ちづらいこともあるので)
 そんなとき「明らかに、変!」と目立つ異物が一つあるとそこを基にして読み解くことができるのかと、省みていろいろ考えさせられました。
 
 作品世界が水を張った静かな水槽だとすると、水面に波を立たせるには外的な要因(強大な敵・回避し得ない運命・世界の終わり等)で外側から水槽のガラスや枠(物語の骨組み)を叩いて揺らすか、中の魚(登場人物)に動いてもらうしかないのですが(強引に手を突っ込んでかき混ぜるという手もありますが割愛します)、この二人のおかげですごくいい波が立ったと感じました。物語の振れ幅が大きくなってより楽しくなったのは確かです。
 加えて、一巻目ではブログの文章に比べて少し遠慮がちに感じられた筆者ご自身が、だいぶ自由に筆を走らせていると思います。「大筒のライミ」のくだりは私にとって「ライトノベルってここまで自由にやっていいんだ!」という福音になりました。
この先の第3巻を楽しみに読ませていただきます。

草々

追伸:以下の二点、校正抜けかな?とも思いました。思い過ごしでしたらすみません。
P116{危ない技使も}
P148{対称的}

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コメント

いやいやいや、重ねてありがとうございます。

そうか、そう言う風に読まれているのか、と感心しっぱなしです。

 内容がどうあれ、迷いなく、バカをやらせてもらえた巻です。

『変人ばかりじゃダメ!』と言われつつも、あれもこれもごった煮状態にしてしまってたぶん本来の客層からは敬遠されてるのでしょうが。
あ、別にミヨは股間を撃っても大丈夫だと思うのですが、そのチャンスがなかっただけです。

 

投稿者: ばば (Nov 24, 2008 3:32:52 AM)

 こちらこそ、つたない感想にコメントありがとうございます。
 今、三巻の二周目ですが脳内がジョディ祭りになっています。麗しきかな乙女、素晴らしきかな妄想です。これで終わりというのは嘘で、きっと次に出る単行本のページを電熱器であぶると余白にみかん汁で印刷された「帰ってきた真田十勇姫!」とか「真田十勇姫AGAIN」とかの内容が浮き出てくると堅く信じています。
 一つ一つのエピソードがきちんと立っていればごった煮カオス状態でいいと思います。ただ、私はスラップスティックコメディとして楽しんでいるからそう言う考えになるので、ラブストーリー的なモノをメインに求められるなら主人公がカオスに埋もれちゃうと男女の関係性を描くのが厳しくなるのかなとも。
 求められているのがエロス・お色気だけならカオス万歳なんですけどねぇ。今ひとつ「本来の客層の求めるモノ」というのが体でわからない年頃です。
 ブログ、拝読しました。今週上京されるのですね。お気をつけてお越しください。

投稿者: たくぼん (Nov 24, 2008 10:55:22 PM)

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